2013年の秋、ゲオルク・ハルトマンが野菜を持って店に来た。それまでフランクフルトの卸業者から仕入れていたが、その日から少しずつ変わり始めた。農家と直接契約することで何が変わるか、13年間の経験から正直に書く。

仲介業者を通すと何が起きるか

卸業者から仕入れていた頃、野菜の産地を知ることはほとんどなかった。届いた箱に「ヘッセン州産」と書いてあっても、どの農家のものかは分からない。品質のばらつきが大きく、同じ品目でも週によって味が違った。料理の仕込みで調整するしかなかったが、それには限界がある。

直接契約に切り替えたときの変化

ハルトマン農家と契約してから、まず変わったのは「何が届くか分かる」ことだった。毎週火曜日に電話で翌週の食材を確認する。「今週はズッキーニが多い」「トマトはあと2週間で終わる」という情報が事前に分かると、メニューの計画が立てやすくなる。食材を無駄にすることも減った。

コストの現実

直接契約が必ずしも安いわけではない。ハルトマン農家の野菜は、卸業者経由より1割から2割ほど高い。ただし、品質のばらつきが少ないので、使えない食材を捨てることがなくなった。結果として、食材費の総額はほぼ変わらないか、むしろ少し下がった。計算してみると、廃棄コストが大きかったことが分かった。

農家との関係を続けるために必要なこと

毎週の電話と、年2回の訪問を続けている。農家側にとっても、安定した取引先があることは重要らしい。ゲオルクさんは「量は少なくても、毎週確実に買ってくれる方がありがたい」と言っていた。大量に買うことよりも、継続することの方が関係を維持する上で大切だと思っている。

小さな店でも直接契約はできるか

14席の店でも、農家との直接契約は成立する。重要なのは量ではなく、継続性と誠実さだと思っている。最初は断られることもあるかもしれないが、近くの農家に直接話しかけることから始めるのが一番早い。農産物直売所や地元の農業イベントで顔を合わせることが、最初のきっかけになることが多い。

農家との直接契約は、料理の質を上げる手段であると同時に、地域の農業を支える選択でもある。大げさな話ではなく、毎週の電話と年2回の訪問を続けることで、13年間関係が続いている。